三相200Vのブレーカー容量の決め方|モーター・電流・3P3Eの選び方【2026年版】

電気工事の基礎知識

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

スポンサー

結論:三相200Vのブレーカー容量は、kWや計算電流だけで決めません。実際の負荷電流、機器メーカー指定、電線の許容電流、始動電流、遮断器の動作特性、極数を確認して選定します。

特にモーター回路では、運転中の電流だけでなく始動時の大電流を考慮しないと、正常な始動でもブレーカーが不要動作することがあります。

スポンサー

三相200Vブレーカー選定の基本手順

順番 確認すること
1 負荷の種類・定格を確認
2 実際の全負荷電流を銘板・仕様書で確認
3 電線・ケーブルの種類と許容電流を確認
4 始動電流・突入電流を確認
5 遮断器の定格電流・動作特性・遮断容量を確認
6 三相3線に適した極数・素子数を選ぶ

まず三相200Vの電流を確認する

三相の入力電力Pから概算電流を求める基本式は、I=P÷(√3×V×力率)です。

モーターの軸出力kWから求める場合は効率も考慮し、I=出力P÷(√3×V×力率×効率)で概算します。

→ 三相3線200VのkW→A・A→kW計算を詳しく見る

5.5kWモーターならブレーカーは何A?

例として、出力5.5kW、200V、力率0.80、効率0.85と仮定すると、概算運転電流は約23.4Aです。

ただし、「23.4Aだから30Aブレーカー」と即決はできません。モーターの実際の全負荷電流は銘板やメーカー資料を優先し、さらに始動電流と遮断器の時間電流特性を確認します。

三菱電機の配線用遮断器FAQでは、電動機分岐回路用遮断器について、全負荷電流の1.25倍以上を目安としつつ、始動突入電流が瞬時引きはずし特性を超えないこと、始動電流が動作特性の最小曲線を超えないことを確認するよう案内しています。

同じ三菱電機でもモータブレーカについては全負荷電流のおおむね1.0〜1.1倍を目安とする案内があり、一般の配線用遮断器とモータ保護専用品では選び方が異なります。

モーターは始動電流を無視しない

誘導電動機などは、始動時に定格運転時より大きな電流が流れます。ブレーカーの定格A数だけでなく、瞬時引きはずし領域や時間電流特性が始動条件に合っているかを確認します。

「大きめのブレーカーなら落ちにくい」という理由だけで容量を上げると、電線保護が不十分になる可能性があります。電線・過負荷保護・短絡保護を一体で検討してください。

三相3線200Vでは3P3Eを確認

三相3線式200Vで使うブレーカーは、回路方式に適合したものを選びます。Panasonicのブレーカー資料では、3P3Eは三相3線式200Vに使用可能とされる一方、3P2Eは単相3線式専用で、三相3線式には使用できないと明記されています。

同じ3極に見えても、素子数・用途が違うため、外形だけで代用判断をしないでください。

漏電ブレーカーを使う場合

漏電遮断器を選ぶ場合も、定格電流だけでなく、回路方式、定格電圧、極数・素子数、定格感度電流、動作時間、負荷特性を確認します。

インバータ設備などでは高調波の影響やメーカー指定も確認し、必要に応じて高調波対応形を選定します。

電線サイズとブレーカーをセットで考える

ブレーカーは負荷だけでなく、配線を過電流から保護できるように選定します。電線の許容電流は、導体サイズだけでなく、ケーブル種類、心数、布設方法、周囲温度、条数などで変わります。

「30Aブレーカーだからこのsq」と逆算だけで決めず、実際の配線条件から電線サイズを決め、その電線を適切に保護できる遮断器か確認します。

→ 電線サイズを許容電流・電圧降下・ブレーカーから選ぶ手順を見る

機器メーカーがブレーカー容量を指定している場合

エアコン、ヒートポンプ、工作機械、コンプレッサーなどでは、据付説明書や仕様書にブレーカー容量・電線サイズが指定されている場合があります。

この場合は、自分でkWから計算した値よりもメーカー指定を優先します。実際に三菱電機の三相200V機器の施工資料でも、機種ごとに電源ブレーカーと電源線の仕様が明記されています。

ブレーカー選定でよくある間違い

  • kWから求めた電流だけでA数を決める
  • モーターの始動電流を無視する
  • ブレーカーだけ大きくして電線サイズを確認しない
  • 3P2Eを三相3線用として使う
  • 漏電遮断器の感度電流・高調波対応を確認しない
  • 設備メーカーの指定値を確認しない
  • 遮断容量や短絡電流を確認しない

運転電流を実測する場合

三相3線の負荷電流は、クランプメーターでR・S・Tを1本ずつ測定します。3本まとめて挟むと各相の負荷電流は確認できません。

→ クランプメーターはなぜ電線1本だけ挟むのかを見る
→ 電気工事士向けクランプメーター比較を見る

よくある質問

三相200V・5.5kWなら30Aでいい?

30Aが適切な場合もありますが、一律には決められません。モーター銘板の全負荷電流、始動条件、メーカー指定、遮断器特性、電線の許容電流を確認してください。

三相200Vで2Pブレーカーは使える?

三相3線回路の3線を保護・開閉する用途では、回路方式に適合した3極の遮断器を選びます。Panasonic資料では三相3線200Vに3P3Eが適用され、3P2Eは単相3線専用とされています。

ブレーカー容量は電線より大きくしてもいい?

電線を適切に過電流保護できない組み合わせは避けます。負荷・配線条件・遮断器の保護特性を合わせて選定してください。

モータブレーカーと普通の配線用遮断器は同じ選び方?

同じではありません。モータ保護専用品はモータ始動特性を考慮した専用特性を持つため、メーカーの選定基準を確認します。

キュービクルの修繕・更新費が高額になっている法人・設備担当者へ。

→ キュービクル更新費が高いときの選択肢|キューブアップ無料診断とは?

まとめ

三相200Vのブレーカー容量は、負荷電流→機器指定→電線許容電流→始動電流→遮断器特性→極数の順で確認すると整理しやすくなります。

特にモーター回路では、計算上の運転電流だけで容量を決めないことが重要です。銘板・メーカー資料・設計条件を確認し、現場の保護協調に合った遮断器を選定してください。

参考資料

三菱電機FA「電動機(モータ)分岐回路用遮断器の選定」
三菱電機FA「モータブレーカの選定について」
Panasonic「漏電ブレーカー」

内容は2026年9月確認。実施工では最新の法令・内線規程、メーカー資料、設計図書、現場条件を優先してください。