結論:電線サイズは、負荷電流だけでは決められません。まず回路に流れる電流を確認し、電線・ケーブルの種類、心数、布設方法、周囲温度、ブレーカー、配線距離による電圧降下、端子への適合を順番に確認します。
『照明は1.6mm』『20Aなら2.0mm』『長距離なら1サイズ上』といった覚え方だけでは、現場条件の違いを判断できません。
電線サイズを決める6ステップ
| 順番 | 確認すること | 主なポイント |
|---|---|---|
| 1 | 負荷を確認 | 電圧・消費電力・定格電流・始動電流 |
| 2 | 配線方式を確認 | 単相・三相、心数、接地線の有無 |
| 3 | 電線種類を選ぶ | VVF・IV・CV・CVTなど、使用場所への適合 |
| 4 | 許容電流を確認 | 布設方法、周囲温度、条数、心数による違い |
| 5 | 電圧降下を確認 | 配線距離、電流、導体抵抗から検討 |
| 6 | 保護と接続を確認 | ブレーカー、端子、接続機器との適合 |
最初に負荷電流を確認する
電線サイズ選定の出発点は、実際に流れる電流です。機器の銘板、仕様書、設計図を確認し、定格電流だけでなく運転条件も把握します。
モーター、コンプレッサー、溶接機などは、始動時や使用状況によって電流が変化します。消費電力を単純に電圧で割った値だけでは判断できない機器もあるため、メーカー指定の配線・ブレーカー条件を優先します。
許容電流は太さだけで決まらない
許容電流は、同じ導体サイズでも絶縁材料、心数、布設方法、周囲温度、複数条のまとめ方などによって変わります。
一例として、VVFを気中1条・周囲温度30℃とした参考値は次のとおりです。
| VVF | 1.6mm | 2.0mm | 2.6mm |
|---|---|---|---|
| 2心 | 18A | 23A | 32A |
| 3心 | 16A | 20A | 28A |
この表だけで回路を設計しないでください。断熱材、高温場所、密集配線などでは条件が変わります。使用製品の最新資料と適用規程を確認します。
→ VVF1.6mmと2.0mmの許容電流・使い分けを見る
→ 2スケと2mmの違いを見る
電線・ケーブルの種類を使用場所に合わせる
導体サイズが同じでも、VVF、IV、CV、CVTなどは構造や用途が異なります。屋内配線、電線管内、幹線、機器接続など、施工場所と目的に適合する種類を選ぶ必要があります。
工場内では熱、油、水、薬品、振動、機械的損傷の可能性も確認します。
配線距離と電圧降下を確認する
配線が長く、流れる電流が大きいほど電圧降下は増えます。ただし『10m以下なら問題なし』『20mを超えたら必ずサイズアップ』のように距離だけで区切ることはできません。
回路方式、電圧、電流、配線長、導体抵抗などから確認し、必要な場合に導体サイズを見直します。特に100V回路や始動電流の大きい機器、長距離配線では注意が必要です。
20Aブレーカーなら何mm・何sq?
ブレーカー容量だけから電線サイズを決めることはできません。同じ20Aでも、VVFかIVかCVか、心数、布設条件、周囲温度、距離などで検討条件が変わります。
『20A=VVF2.0mm』とだけ覚えるのではなく、電線の許容電流と配線条件を確認し、そのうえでブレーカーが配線を適切に保護できるかを確認します。
→ 三相200Vのブレーカー容量・3P3E・モーター回路の選び方を見る
太い電線なら安全とは限らない
太い電線は抵抗を小さくできますが、端子がそのサイズに対応していない、曲げスペースが不足する、施工性が悪化するなど別の問題が生じます。
ブレーカー、端子、接続機器の適合範囲、締付方法、曲げスペースも確認してください。
電線管に収める場合は管径も確認する
電線サイズを決めた後は、使用する電線管の内径、条数、曲がり、通線距離も確認します。ケーブル外径の合計だけで管径を決めるのは避けます。
→ PF管とCD管の違い・使用条件を見る
→ CVケーブルの外径一覧を見る
電線サイズ選定でよくある間違い
- 許容電流表の数値だけを見て決める
- 心数や布設条件を無視する
- 長さだけで機械的にサイズアップする
- 始動電流やメーカー指定を確認しない
- 太い電線なら無条件に安全と考える
- 端子の適合サイズを確認しない
現場で確認したいチェックリスト
- 負荷の電圧・電力・定格電流・始動条件
- 単相か三相か、必要な心数
- 電線・ケーブルの種類と使用場所
- 布設方法、周囲温度、同一経路の条数
- 配線距離と電圧降下
- ブレーカー容量と保護
- 端子・コネクタの適合サイズ
- 設計図・仕様書・適用規程との整合
関連記事:ブレーカー容量と電線サイズの選び方|15A〜60Aの考え方
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まとめ
電線サイズは、負荷電流→電線種類→許容電流→電圧降下→ブレーカー→端子適合の順に確認すると整理しやすくなります。
早見表は候補を絞るためには便利ですが、最終決定の根拠には不足します。現場で使用するメーカーの最新仕様書、設計図、適用する法令・規程を確認してください。
参考資料
経済産業省『電気事業法 告示・内規等』
住電HSTケーブル『一般設備用電線・ケーブル』
住電HSTケーブル『技術情報』
極東建設『電線・ケーブルの許容電流値』
仕様・許容電流は2026年9月確認。実施工では最新のメーカー資料、法令・規程、設計図書を確認してください。






